野口博 個展 図録
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Title | 野口博 個展 図録 |
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Message | 今 想うこと年を重ね、やっと好きだった絵を描く時間を得ることが出来ました。 野口 博 |
Statement | 友人の原田君(通称 エイゴちゃん)の紹介で自由ヶ丘の名店「極楽亭」で会ったのは、もうかれこれ20年以上前。 カウンターの隅で独り酒を慈しむ姿は、ドラマ「時間ですよ」の“風間さん”の如き佇まいで、その風貌から“自由ヶ丘のグレゴリーペック”と呼ぶ人も。 聞けば、本当は絵描きになりたかったけど、それでは食っていけないからと、プラネタリウムなどで上映する映像の制作会社を営まれているとのこと。 そして、私も映像作品のモンゴルの民話「スーホの白い馬」の時には、絵を描かせていただきました。 その後、私が主宰する風景写生の「獺画会」に入られ、月に一度スケッチが終わってからの“反省会”と称する呑み会で親交が深まります。 水彩の筆遣いは、さすが絵の道を志しただけあり実に闊達で、特に夕雲たなびく空の表現には目を見張るものを感じます。 その独特のピンク色の空が印象的なことから、メンバーに「夕焼けの画家」と呼ばれるほど! 水平線を下げて、空を大きく扱う構図は、彼の生まれ育った“水郷”と呼ばれる風土と深く関係しているのだと思います。 学生時代、影響を受けたという郷里の水彩画家 小堀進が、当にこの広く開けた水辺の空の変化を、太い筆遣いで一気呵成に描いているのですから。 最近は、水墨画も始められ、既にプロ級の腕前だとか? 水彩、水墨は両者とも、滲みや暈し、掠れなど、紙と水の織りなす瞬間的な出会いが重要なファクターとなりますが、それはあの“水郷”の大きな空の下で育まれたロマンチスト・野口 博の感性とピッタリ重なる画材なのでしょう。 一昨年、仕事をリタイアされ、漸く好きな絵を描ける時間が持てるようになったのだそう。 本人は、これが最後の個展だと言っておりますが、いやいや酸いも甘いも噛み分けた野口さんにとって、これまで積み重ねてきた人生経験がこれからの画業に大いに反映され、深みを増して来るのだろうと期待しております。 そういう意味では、ここからが第二の人生として、画家・野口 博のスタートだと言えるのでしょう。 瀬川 智貴 |
Statement | この度の野口博さまの個展に際しまして、まずは心よりお祝い申し上げます。 野口さんは以前より水彩画を学ばれ、その後に、当方門弟として水墨の世界に足をお入れになり水墨画の世界を学び始められました。 水墨画は水彩画の素養もしかり、画を作り出す上で向き合う姿勢というものは似ていますが、ただそこには色がないモノトーンを基調にした絵画であること、また水彩画以上に余白の美観、精神性が高い画でありまして、いかにしてそれを会得していくのか日々鍛練されてきました。 野口さんの作品を拝見するとき、そこには『描くことがすきだ』という気持ちが表れており、また野口さんの眼から見えた独自のカラーをもって描かれています。 それはおそらく野口さんが五感で感じた素直な感性があってのこと。 筆を持つ人間はそれがないと感動する作品等つくることができないのです。 人間的にもとても人間味あふれる性格はその作品をもってすべてに表れてきているといっても過言ではないでしょうか。 野口さんは人生のなかでの記念として作品発表できる機会を持ちたいと今日にいたったそうです。 その思いを胸に描かれた作品には野口さんが人生で垣間見た懐かしき風景、また人とのご縁、また感動したその瞬間があり、見ている側は野口さんの人生風景に少しだけ触れることができるといえましょう。 誠実、温かい人柄、思い遣りの心、粋なかざりけのない生き方、そのもの一つ一つが宝箱のようにひしめき合った作品だと思います。 今日の日を元気に笑顔で迎えられたこと本当におめでとうございます。 益々お身体には気をつけて精力的にこれからも野口さんらしい人間味溢れる作品を産み続けて欲しいなあと期待しています。 さらなるご飛躍お祈りし私の言葉といたします。 矢形 嵐酔 |
Publisher | 野口 博 |
Creative Data
CATEGORY | EDITORIAL |
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PRINTING DATA | 210mm×210mm 表紙+本文52P 左綴 表紙:ヴァンヌーボVホワイト 本文:MrB |